不死鳥が昼と夜を行き来する

月が木製の船に乗り川を下る


運命の女神が太陽を右手から左手へと渡す


光と闇が入れ替わる淡いグラデーションのなか

いくつもの魂が交差する


その光に紛れ

私はその一瞬の永遠の中を彷徨う


魅惑の世界へと向かうヴィーナスとすれ違う

月明かりに照らされてその肌は陶器のように

白く透き通り

ふわっとやわらかく光を帯びて

白ゆりのように輝く


彼女の足元に真っ赤なバラが花咲く

枯れ散った花びらが絨毯の様に

深い森の奥へと延びる


その美しい絨毯を辿っていくと

途中洞窟のような穴を見つける


ここだ


あの老人の話だと

かつてここから美しい宝石が

掘り出されていたのだ


私はそこで原石を掘り出す


すっと頭の上を行き去る魂の

青白い光りを受けて

その口を開けた岩がぼんやりと

浮かび上がる


少し不気味なその岩は

人の顔のようにも

また猛獣の顔のようにも映る


さながらピラミッドを守るスフィンクスのようだ


少し恐れを抱きつつも先へ進む

だがすぐ行き止まる


ランタンの灯りを頼りに

壁を掘り進め


太古の昔に深い地中で固まった

この星の記憶を掘り出す


カツン…カツン…カツン…


ピックハンマーが壁を削る度に、火花が散る。


あおの刹那の光は周りを照らし出すが、

その度に光は色を変え、影は形を変える。


どうやらここには無数の時が、

(今となってはもう過去となってしまった時だが)

その当時の今が真空パック保存されているようだ。


いくつもの輝きの中でただひたすらに掘り進んだ。


無心で掘っているうりに、ふと思う。このいくつもの

記憶の中にはたして自分にとっての宝石はあるのだろうか。


男はふと手を止めつぶやく。


「本当にほしいのはこんな物ではない。

私は、私自身の生きた証が欲しかったんだ。」


そういうと、彼はハンマーを放り投げもと来た道を走り出した。


「こうしてはいられない。」


彼は必死になって走った。


その洞窟は太古の人の記憶を思い出される。

そして時に、自分自身の記憶を映し出す。


そう、もうひとつのあなたの記憶が

過去の記憶として刻まれていたりするのだ。